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[報告] S-NET第4回分科会(駐日EU代表部)

2017年04月29日

内閣府宇宙開発戦略推進事務局と日欧産業協力センターは2月15日、宇宙関連の新産業・サービス創出をテーマとしたネットワーキング組織「スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(略称:S-NET)」の第4回分科会「宇宙×データプラットフォーム~日欧におけるその可能性」を、東京・麻布の駐日欧州連合(EU)代表部で開催しました。

[開会挨拶] 日欧産業協力センター ファブリツィオ・ムーラ氏

日欧産業協力センターのムーラ氏

開会挨拶に立った日欧産業協力センター事務局次長のファブリツィオ・ムーラ氏は、今回の「宇宙×データプラットフォーム」分科会はEUと日本にとって非常に貴重な機会であると述べ、今回の登壇者による知見共有および参加者との未来に繋がるネットワーク構築によって、EUと日本による宇宙×データプラットフォームの市場拡大と新ビジネス創成の実現を願っていると語りました。

[イントロダクション] デロイト トーマツ 片桐亮氏

デロイト トーマツの片桐氏

続いてS-NET事務局のデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 ヴァイスプレジデントの片桐亮氏が「国内外におけるリモートセンシングデータの現状とデータプラットフォームのあり方」について説明しました。リモートセンシング衛星市場は米国を中心に近年拡大しており、公的機関の利用を軸としたビジネスから民間中心のビジネスへシフトする転換期を迎えていると語りました。

▽海外のリモセンデータ活用事例

[講演1] EARSC ジェフ・ソイヤー氏

EARSCのソイヤー氏

海外のリモセンデータ活用事例としてEARSC(European Association of Remote Sensing Companies、欧州リモートセンシング企業協会)事務局長のジェフ・ソイヤー氏が、欧州内22カ国の86社から構成されるEARSCを紹介しました。欧州と日本では自然災害という共通課題があるため、今後、互いに協力し合っていきたいと語りました。

[講演2] AIRBUS ヒューグス・パヴィー氏

Airbus Defense & Space Intelligenceのパヴィー氏

EARSCのユーザー企業として、初めにAirbus Defense &Space Intelligence アジア方面事業開拓部長のヒューグス・パヴィー氏が、同社が提供するリモートセンシングデータを利用したサービスについて説明しました。人口密度や都市部における緑化の状況などにも衛星画像を役立てることが可能であり、衛星画像を分析し、顧客に意味のある情報を提供することが求められていると語りました。

[講演3] GMV セレスティーノ・ゴメス氏

GMVのゴメス氏

EARSC EOデータユーザー企業の取り組みとして、次にGMV事業開拓部長のセレスティーノ・ゴメス氏が、1984年にスペインで設立され、宇宙データを使ったアプリケーションを開発している同社サービスについて紹介しました。今後、専門化した需要に合わせてデータアナリティクスが必要となり、衛星情報と他のデータの組み合わせを考えていくことになると語りました。

[講演4] e-GEOS マッシモ・コンパリーニ氏

e-GEOSのコンパリーニ氏

引き続きEARSC EOデータユーザー企業の取り組みとして、e-GEOS代表取締役のマッシモ・コンパリーニ氏は、現在、農業・防衛・情報収集の分野における需要を知り、EOがどのように活用できるかを提示することが課題だと述べました。また、インフラモニタリングが重要になっており、さまざまな種類のインフラストラクチャーのリスク分析なども実施していると説明しました。イタリアに本拠地を置く同社は、イタリア中部地震でも24時間データを提供し続け、発災後数時間以内に最新地図の作成が可能であったと語りました。

▽国内の地理空間データの整備状況と潜在ニーズ

[講演5] 宇宙システム開発利用推進機構 高山久信氏

宇宙システム開発利用推進機構の高山氏

後半は、国内の地理空間データの整備状況と潜在ニーズについての講演が行われました。一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構 戦略企画室長の高山久信氏は、宇宙システム開発利用推進機構の目指す方向性(宇宙技術の進化推進、新技術の事業化、国際競争力強化の推進、宇宙技術・衛星データの社会実装)の下に設立された宇宙ビジネスコートの活動概要とその機能を紹介しました。実際の事業化事例や相談事例を交え、今後のビジネス創造に向けて民間企業との伴走を積極的に行っていきたいと語りました。

[講演6] リモートセンシング学会 福田徹氏

リモートセンシング学会の福田氏

続いて一般社団法人リモートセンシング学会 副会長の福田徹氏は、リモートセンシング学会の活動紹介と地球観測センサ動向を説明しました。ビッグデータ活用による社会課題解決や新サービス創出を最終目標に据えた上で、エンドユーザーはデータではなくデータから導かれる有用な情報を求めているため、有用情報を作成する付加価値事業者(中間事業者)向けにリモセンデータの存在と活用方法を示していくことが必要と語りました。

[講演7] 東京大学 柴崎亮介氏

東京大学 空間情報科学研究センターの柴崎氏

東京大学空間情報科学研究センター教授の柴崎亮介氏は、G空間情報センターの活動を紹介した後、空から見た地球、測位の使用、衛星コミュニケーション等の技術が格段に上がり技術基盤が充実してきている中で、企業が持つ有用なデータと組み合わせて社会課題の解決に役立てることが重要であると語りました。

▽ビッグデータ解析へのAI活用

[講演8] 産業技術総合研究所 中村良介氏

産業技術総合研究所の中村氏

講演の最後はビッグデータ解析へのAI活用をテーマに、国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能研究センター研究チーム長の中村良介氏が登壇しました。災害対策や都市計画等で有用される米国の地球観測衛星Landsat8の画像解析を例に、Convolutional neural network(CNN)の認識手法は、人間による網羅的解析が困難な衛星データの画像分析に優れていると述べ、CNNを活用したネットワークモデルについて説明しました。また今後はDeep Learningにより、一層複雑な記述が可能になると語りました。

[パネルディスカッション] 地理空間情報を活用した新たなビジネスの可能性とそれを実現するためのデータプラットフォームの要件

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションでは、主に「今後リモートセンシングを使用したビジネス拡大のためにどのような取り組みを推進すべきなのか」について議論を交わしました。モデレータは、S-NET事務局であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の片桐亮氏が務めました。欧米から見た日本のリモートセンシングの感想と連携の可能性、リモートセンシングデータのオープン化、衛星データ活用からのさまざまな新ビジネス創出などが話し合われました。

[閉会挨拶] 内閣府宇宙開発戦略推進事務局 髙見牧人参事官

内閣府の髙見氏

最後に内閣府宇宙開発戦略推進事務局の髙見牧人参事官が閉会の挨拶を行い、今後のさらなる利用推進への期待を述べました。

参照サイト

「S-NET」分科会(2016年度)