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[報告] G空間EXPOでみちびきの展望を語る講演会

2015年12月15日

2015年11月下旬に東京・お台場の日本科学未来館で行われたG空間EXPO2015。その会場で11月26日、内閣府宇宙戦略室が主催する準天頂衛星システム講演会が開催されました。当日のプログラムに沿って内容を紹介します。

多様な企業と相互アクセスできる柔軟な関係に期待

冒頭、まず主催者である内閣府 宇宙戦略室の守山宏道参事官が登壇し、衛星測位分野の国際的な動向とそれを踏まえた国内の状況について講演しました。

内閣府 宇宙戦略室の守山宏道参事官

守山参事官は、GPSとGLONASSでグローバルな測位体制が完成している米国、ロシアに続き、2020年までに欧州、中国がGalileoとBeiDouで追随し、さらに2023年に日本でみちびき7機体制が実現することで「2020年代に新たな国際競争の時代がやってくる」と状況を分析。新たな宇宙基本計画以降の動きにも言及し、みちびきが行う衛星測位に加えて、航空用の衛星航法システム(SBAS)による測位補強サービスや、災害・危機管理通報、衛星安否確認サービス(Q-ANPI)などでの新産業創出に期待が寄せられていると強調しました。

来春に立ち上げるS-NET(スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク)もこの動きを踏まえたものであり、「宇宙機器産業の成長には、インフラだけに着目したアプローチでなく民間事業とセットで考えることが重要。多様な皆さまと相互にアクセスできる柔軟な関係をつくりたい」と語り、幅広い企業、個人、団体等からの参画を呼びかけました。

仰角30度以上に測位衛星が10機も見える

以後は、みちびきのサービスを提供する側が、システムの進捗状況と利用拡大への取り組みについて説明しました。

NECの神藤英俊氏

まず、日本電気株式会社(NEC)の神藤英俊氏が利用拡大の最新状況を解説。衛星測位利用推進センター(SPAC)と連携して産業界へのアプローチを継続し、利用実証の参加者には受信機を無償で貸与していることや、測位衛星の位置をスマートフォンで体感的に確認できるアプリ「GNSS View」で上空を見ると「仰角30度以上の範囲に測位衛星が10機もある」状況が分かるとしました。

システムの進捗と技術動向について解説

次いで、システムの進捗状況と技術動向についてNECの曽我広志氏と三菱電機株式会社の瀧口純一氏が解説しました。

NECの曽我広志氏

NECの曽我氏は、4機体制では「3機の準天頂軌道衛星が日本の仰角20度以上に16時間とどまり、1機の静止衛星が常に赤道上にいる」として、日本はもとよりアジア・オセアニア周辺地域で広く利用できるとアピール。追跡管制局などの地上システムも、各地に着々と整備されている様子を示しました。

三菱電機の瀧口純一氏

三菱電機の瀧口氏は、L6信号を使って高精度の測位補強情報を日本全国に配信するセンチメータ級測位補強サービスについて説明しました。このサービスでは、推定した誤差パラメータを補間モデルでより少ないパラメータに変換するSSR(State-Space Representation)という方式を使っています。「現行の地上波配信と比較して約1000分の1にデータ圧縮することで、みちびき経由で全国への配信が可能となり、静止・移動体ユーザともにセンチメータ級の高精度の位置情報が利用できるようになる」と述べ、「提案方式の国際標準化に向けて、提案フォーマットへの対応を受信機メーカーにお願いしたい」と語りました。

さらに多くの利用に向け2周波の精度実証など

最後は、海外での活用と実証実験の最新状況について、NECの永守正雄氏と兼子進氏が報告しました。

NECの永守正雄氏

永守氏は、海外では産官学が連携して、ダイアログ、認知拡大、実証実験、人材育成の4つを柱として活動しており、衛星測位、測位技術実証、災害・危機管理通報の3つのサービスが利用可能であることから、今後は、電離層の影響の大きい赤道域に対して効果が期待される2周波の精度実証を行っていきたいとしました。

NECの兼子進氏

兼子氏は、今年行った箱根、北陸、京都での観光事業と連動した利用実証の試みを紹介。技術的な実証では、マルチパスが多い都市部での測位モード比較と、電離層の影響が大きい沖縄での2周波測位によってみちびきの効果を確認した結果を報告し、さらに精度向上に努めると共に、「さらに多くの企業の方に実証実験へ参加していただきたい」と締め括りました。

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