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高精度測位補強サービス(MADOCA-PPP)

MADOCA-PPPは、仰角10度以上のQZSが1機以上、仰角10度以上の補強対象衛星が20機以上見える下記に示す範囲で利用可能である。なお、MADOCA-PPPの補強対象は、下記に示す航法衛星システムの信号である。

・準天頂衛星システム : L1C/A, L1C/B, L1C, L2C, L5
・GPS : L1C/A, L1P, L1C, L2C, L2P, L5
・GLONASS : G1, G2
・Galileo : E1, E5a

サービス範囲

受信機がL6(MADOCA-PPP)信号による補強メッセージを受信してから、PPP測位結果が以下の精度を満たすまでの時間を収束時間と定義する。

・水平精度:30cm以下(95%)
・垂直精度:50cm以下(95%)

収束時間は以下を満足する。
・1800秒以下

ただし、以下を前提とする。
・環境:マスク角は10度以上のオープンスカイとし、少なくとも20衛星以上が可視となること。
・アンテナ及び受信機:2周波測量用

MADOCA-PPPのUnhealthy状態は、次の表に定義する。

unhealthy システム保守 計画的なシステム停止によりサービスが停止した場合(*)
システム異常 ・MADOCA-PPPが非標準コードを送信している場合
・MADOCA-PPPが連続3秒以上ヌルメッセージ(**)を配信している場合(*)
サービス障害 ・補強メッセージに含まれる補強対象の測位衛星数が、サービス範囲内のすべての場所で12以下になった場合(*)(***)

(*)アラートフラグは1となる。
(**)ヌルメッセージの定義はIS-QZSS-MDCによる。
(***)この状況下においても補強対象衛星は11衛星以下で補強情報の送信は行われる。

RF特性

信号構造

高精度測位補強信号(L6)の信号構造、PRNコード特性、およびメッセージ特性は、以下の表に示すとおりである。

信号構造

周波数帯 信号名 変調方式 PRN
コード名
オーバー
レイコード名
メッセージ名
L6 L6 BPSK (※1) L6(コード1) - L6D
L6(コード2) - L6E

※1:チップ毎の時分割多重により2つのコードを伝送する。

PRNコード特性

PRNコード名 チップレート 長さ 周期 オーバー
レイコード
L6(コード1) 5.115 Mcps 10,230チップ 4ms -
L6(コード2) 5.115 Mcps 10,230チップ 4ms -

メッセージ特性

メッセージ名 ビットレート シンボルレート 周期
(最小フレーム)
符号化方式
L6D 2,000bps 250sps 1 s RS(255,223)
L6E 2,000bps 250sps 1 s RS(255,223)

周波数

周波数帯、中心周波数公称値、および占有帯域幅は次の表に示すとおりである。
ただし、基準周波数 f0=10.23MHz は地表面と衛星軌道上との差による相対論効果による影響を補償するためにノミナル Δf/f0=-5.399E-10 だけオフセットしている。そのため、衛星軌道上における中心周波数は厳密には異なる。L6周波数ではノミナル-0.690397Hzだけオフセットしている。

占有帯域幅

周波数帯 占有帯域幅 (※1)
L6帯
中心周波数公称値:1278.75MHz=125×f0
42.0MHz(±21.0MHz)

(※1) 占有帯域幅とは、各信号について、搭載系(測位ペイロード)から放射される全電力を100%とした時、電力が以下の割合を占める帯域とする。L6信号:99%以上

最低信号強度

最低信号強度は、円偏波受信で0dBi の利得の等方性アンテナを地上付近に設置し、仰角10度以上の可視の衛星からの信号を受信した時、最低となる出力レベルを示す。地球地表面における最低信号強度を次の表に示す。

最低信号強度

信号名称 最低信号強度 (※1)
L6D -156.82dBW
L6E

(※1) 信号強度は、L6D(コード1)のL6E(コード2)との合計値である。また、円偏波受信で0dBiの利得を持つ等方性アンテナを地上付近に設置し、信号仰角10度以上の可視の衛星からの信号を受信したとき、最低及び最高となる出力レベルを示す。

偏波特性

右旋円偏波とする。
また、L6信号の中心周波数において、その円偏波の楕円の長軸短軸の比率は、ボアサイト方向から±10度のビーム範囲で、次の表に示すとおりである。

円偏波の楕円の長軸短軸の比率

周波数帯 比率
L6D 2.0dB 以下
L6E 2.0dB 以下

群遅延特性

(1)周波数間の群遅延

衛星のアンテナ位相中心端において、L6信号とL1信号(C/A、L1CD、あるいはL1CP)間、L6信号とL2信号間、L6信号とL5信号間の群遅延の差(PRNコード位相の差)の絶対値は次の表に示す値以内である。

信号間の群遅延の差の絶対値

信号 群遅延差
L6-L1 35ns
L6-L2 15ns
L2-L5 20ns

また、その変動は次の表に示す値以内である。

信号間の群遅延の差の変動

変動値
2[ns](3σ)

(2)同一周波数内の群遅延

L6信号に関して、同一周波数内の群遅延に対する仕様はない。

PRNコードジッタ

PRNコードゼロクロスの間隔のジッタは3σ値で2.0nsを超えない。
また、PRNコードについて、Falling エッジを正しいと見た時の Rising エッジの遅れ時間(あるいは進み時間)の平均は1.0ns を超えない。

コードキャリアコヒーレンシ

衛星のアンテナ出力端において、搬送波位相とPRN コード位相の差の変動は、1.2ns以下である。

以上

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