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準天頂衛星初号機後継機の準備状況

2021年03月01日

内閣府は、準天頂衛星初号機後継機を2021年度に打ち上げるべく、現在、衛星システムの機能性能を確認する最終段階の試験となるプロトフライト試験を衛星メーカ(三菱電機株式会社 鎌倉製作所)にて実施中です。プロトフライト試験では、実際に打ち上げる衛星機体を用いて、ロケット打上げ時にさらされる振動環境に対する耐性の確認(振動試験、音響試験)や、宇宙空間を模擬した大型の真空チャンバを用いた総合的な動作確認(熱真空試験)などを行います。

写真-1は、プロトフライト試験に向けて衛星システムを組み立てている様子です。写真左側のL帯アンテナから測位信号を配信します。図-1に測位信号送信用アンテナの搭載位置を示します。L帯平面アンテナ、L1Sアンテナ、及びL5Sアンテナの3種類のアンテナを搭載しています。

試験準備中の初号機後継機

写真-1:試験準備中の初号機後継機。向かって左側が測位信号を送信するL帯アンテナが搭載される地球指向面。太陽電池パドルは手前と奥側の銀白色の面に搭載する。青色は保護用のシートで非フライト品

測位信号送信用アンテナの搭載位置

図-1:測位信号送信用アンテナの搭載位置

写真-2は、プロトフライト試験の初期に実施するアライメント測定の準備中の様子です。アライメント測定は、搭載機器の取付け方向(アライメント)を精密に測定する試験であり、振動試験、熱真空試験が終了した後にも再度同じ箇所を測定して、振動や熱による負荷を受けても想定以上に変動しないことを確認します。変動幅は肉眼では分からないほど微小です。

なお、写真-1・2は、いずれも太陽電池パドルが取り付く前の状態です。
プロトフライト試験で確認する検証を全て完了させた後、打上げに向けて種子島宇宙センターへ輸送します。

初期アライメント測定準備中の初号機後継機

写真-2:初期アライメント測定準備中の初号機後継機。姿勢制御用の恒星センサやスラスタなどの搭載機器が正しい方向に取り付けられていることを、精密光学装置を用いて測定します

準天頂衛星初号機「みちびき」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)により2010年9月に打ち上げられ、2017年に内閣府に移管された衛星で、内閣府が2017年に打ち上げた準天頂衛星2~4号機と共に、衛星測位サービスや高精度な補強サービスなどを提供しています。初号機後継機は、これらの役割を引き継ぐと共に、配信する測位信号の精度向上に取り組んでいます。

初号機後継機と他号機の主な諸元を以下の表-1に示します。初号機の後継機ですが、設計のベースは初号機ではなく、2号機、4号機となります。

 表-1:初号機後継機と他号機の主な諸元
項目 初号機 2号機・4号機 3号機 初号機後継機
軌道 準天頂 準天頂 静止 準天頂
測位信号 L1-C/A,
L1C, L1S,
L2C, L5, L6
L1-C/A, L1C,
L1S, L2C,
L5, L5S, L6
L1-C/A, L1C,
L1S, L1Sb, L2C,
L5, L5S, L6
L1-C/A
(L1-C/B (*1)),
L1C, L1S, L2C,
L5, L5S, L6
L帯アンテナ ヘリカル方式
(*2)
ヘリカル方式
(*2)
パッチ方式
(*3)
パッチ方式
(*3)
発生電力 5.3kW 6.3kW 6.3kW 6.3kW
質量 約4t 約4t 約4.7t 約4t
設計寿命 10年以上 15年以上 15年以上 15年以上
打上げ年度 2010年度 2017年度 2017年度

2021年度
(予定)

打上げ
ロケット
H2A202 H2A202 H2A204 H2A202
(*1) L1-C/AコードをBOC(Binary Offset Carrier)変調して送信する信号
(*2) らせん形状のアンテナ素子を配列したアンテナ
(*3) 平面形状のアンテナ素子を配列したアンテナ

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