宝探しで理解する衛星測位(2)3次元(空間)の測位
今度は公園での「宝探し」を例に、3次元(空間)の測位を理解してみましょう。砂浜で掘り当てた宝箱の中には、次の宝につながるヒントが入っていました。
1) 公園には街灯(A地点)とすべり台(B地点)と水飲み場(C地点)があり、「街灯(A)から20m」「すべり台(B)から12m」「水飲み場(C)から15m」と宝のありかのヒントが与えられました。
2) そこで、ロープを3本用意して、1本ずつそれぞれを結び、「街灯(A)から20m」「すべり台(B)から12m」「水飲み場(C)から15m」のところに結び目が来るようにして3本のロープを結びました。
3) 結び目を持って歩き回り、3本ともピンと張る場所が見つかれば、そこが宝のありか、というわけです。
4) ところが歩き回ってもなかなか「3本とも」という場所が見つかりません。どの2本が張った状態でも、困ったことに残りの1本がゆるんでしまうのです。
5) 動き回りながら考えました。「結び目を高く持ち上げれば、3本ともピンと張る場所が見つかるかもしれない——」
6) さっそく公園の樹木に登ってみたら、ちょうど3本のロープがピンと張る場所で小さな宝箱が見つかりました。(地面の下にもピンと張る場所はあり得ますが、地中なので除外します。)
2次元(平面)の測位では2点からの距離でしたが、高さも含めた3次元の場合には「3点からの距離が決まる」ことで測位ができることが、分かってもらえたと思います。
監修:久保信明(東京海洋大学 大学院 准教授)、構成:喜多充成、イラスト:西井 匡
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