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宝探しで理解する衛星測位(3)衛星3機での測位

2015年09月26日

「3点からの距離が分かると測位できる」ことを衛星測位に置き換えて考えてみましょう。衛星測位においては、「衛星からの位置情報で...」といった表現がよく用いられるため、「カーナビやスマホが、衛星から位置を教えてもらう」と思っている方が多いかもしれません。実際には衛星からの情報をもとに計算で位置を求めているのです。

オープンカーでドライブするイラスト

衛星測位では、これまで説明してきた「ロープの長さ」に相当するのが、「各衛星から自分までの距離」になります。衛星から自分の位置までの電波が伝わるのにかかった時間を計り、これに電波の速度(秒速30万km)を掛け算すれば、この距離を求めることができます。衛星から自分の位置までの所要時間の計測は、衛星が電波を何時何分何秒に発射し、自分のところに届いたのが何時何分何秒だったかが分かれば、求められます。

そこで、実際に衛星3機で測位してみたところ、上手くいきませんでした。この原因はどこにあるのでしょうか。

電波の速度は秒速30万km、1億分の1秒で3m進むほどの速さです。到達時間を正確に測らないと測位結果も正確に求められません。衛星には原子時計が搭載されていて、出発時刻は10億分の1秒の精度で測ることができるため、電波の発射時刻は正確に求めることができます。

久保先生のイラスト

一方、到達時刻についてはどうでしょうか。オリンピックやカーレースで使われる高精度時計であっても10万分の1秒の精度と言われています。到達時刻の計測に10万分の1秒の誤差があった場合、測位結果に3kmの誤差が生じてしまいます。このため、正確な計測のためには「原子時計を持ち運ばないと正確には求められない」ことになってしまいます。

公園での宝探しの例での「ロープの長さ」を衛星からの電波の到達時刻に置き換えてみると、「衛星Aからの距離」「衛星Bからの距離」「衛星Cからの距離」の3つが分かれば測位はできるはずでした。

しかし実際には、それぞれの距離に「(自分の時計誤差)×秒速30万km=距離誤差X」の誤差が生じていました。「衛星Aからの距離+距離誤差X」「衛星Bからの距離+距離誤差X」「衛星Cからの距離+距離誤差X」ということになっていたわけです。

そのため衛星3機では測位ができなかったのです。では、この「距離誤差X」はどうやったら消すことができるのでしょうか? 次回はそこから話を進めます。

監修:久保信明(東京海洋大学 大学院 准教授)、構成:喜多充成、イラスト:西井 匡