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セイワ 田邉正明:自社設計・海外調達生産による安価で高機能なカーナビを提供

2015年08月26日
株式会社セイワ 代表取締役社長 田邉正明

2011年にカーナビゲーション市場に参入した株式会社セイワは、その3年後、2014年4月に発売した製品からいち早くみちびきに対応しました。競争の激しいカーナビ市場でフットワーク軽く開発を進められる秘訣は、いったいどこにあるのか。株式会社セイワの田邉正明社長に話を聞きました。

自社設計でカスタマイズ対応可能な製品を生産

── まず最初に御社の事業についてお聞かせください。

セイワ 田邉正明 代表取締役社長

田邉 私どもセイワは創業以来50年間ずっと、車内アクセサリを中心とするカー用品を企画・製造・販売してきました。2011年に、「海外メーカーと組んで日本市場向け製品を作る」というコンセプトで、カーナビゲーション市場へ参入しました。当初は韓国メーカーのOEM(original equipment manufacturer、他社ブランド商品の製造)からスタートしましたが、現在は製品企画は自社で行い、生産のみを韓国、中国、台湾などのメーカーに委託しています。

── 御社が取り扱うのは、内蔵型のカーナビでなく、後から取り付けるPND(Portable Navigation Device)と呼ばれるタイプですよね。

田邉 イエローハット、オートバックスといった大手チェーンのカー用品店がメインの販売先です。PNDメーカーは国内、海外とも何社かあって、やはり価格で評価されるのでコストダウンを優先すると、他社と差別化を図るのは難しいのですが、同じ価格帯の製品の中で機能を充実させ、クレームが少ないという点を評価につなげていくようにしています。

セイワのカーナビ「PNM82F」と「PXN207S」

写真左:静電タッチ式 8V型フルセグナビの「PNM82F」、写真右:感圧タッチ式 7V型ワンセグナビの「PXN207S」

── 具体的にはどんなことをされているのですか。

田邉 まず部品の一点一点まで吟味します。基盤も、安易に汎用ボードや安いパーツを使わず、オリジナルの基盤を開発し、300~400点あるパーツも担当者が品質を一つずつチェックします。測位チップも、ユーブロックス製の最新のものを使用しています。

次に販売店の要望に合わせて、細かく仕様をカスタマイズします。たとえば画面サイズを8インチにするならテレビはワンセグではなくてフルセグがいい、といった要望にきめ細かく対応し、最初は受注生産に近い形で作った製品を、小売店のお勧め商品として売っていただいたりします。

位置情報の正確さはナビの正確さに直結

セイワ 田邉正明 代表取締役社長

── PIXYDAシリーズは昨年からみちびきに対応していますが、そこに至る経緯を教えてください。

田邉 測位チップを開発しているユーブロックスが、みちびきに対応したのがきっかけです。日本の市場は位置の精度をとても重視していますし、単にナビソフトを入れただけのスマートフォンやタブレットとは違う、カーナビ本来の良さを引き出せると思いました。

── みちびきに対応したことでお客様の反応はどうですか。

田邉 GPSに加え日本の真上を通過するみちびきに対応したことにより、ビル街や山岳部などの受信しにくい場所での測位率が向上しております。測位精度が高い事はカーナビの基本性能として絶対的な条件となりますので、みちびき非搭載のナビと比べたら大きな差別化となり、ご好評をいただいております。

この価格帯のカーナビはジャイロセンサが入っておらず、衛星の位置情報の正確さはそのままナビの正確さにつながります。私どもの製品はメインボードと測位用の基盤を分離してシールドすることで、測位チップの感度が安定するように設計しています。

目的地を設定してルート計算している時なら、トンネル内などでも速度をもとに現在位置を計算して表示する「トンネルアシスト」という機能を使えます。ただ、トンネル内やビル陰、山間部などで、時々電波が受信できなくて位置が飛ぶのは、発生頻度と価格のバランスを考えるとある程度、仕方がない部分もあるとは思います。

── 価格帯に応じた設計の考え方というわけですね。

セイワ 田邉正明 代表取締役社長

田邉 たしかにジャイロを付けてほしいという要望もありますが、それで本体価格が上がれば、価格が左右する市場では売れなくなってしまいます。どうしてもジャイロがないと位置が取れない状況はさほど多くないし、設計やソフトウェアで上手くサポートできるようにカバーしています。測位チップに合わせたオリジナルの基盤とアンテナを開発し、その配置も実車で走行試験をして決めました。製造も、スマートフォン用や船舶用の測位アンテナを製造している工場を選んでいます。

強みは、アクセサリで培った国外生産の実績とノウハウ

── 自社設計で、部品も吟味するというディテールへのこだわりは、御社のものづくりに対する姿勢なのでしょうか。

田邉 常にそういうスタンスだと、価格が折り合わなくなってしまうこともあります。カーナビに関しては後発なので、単に安いものを海外メーカーから調達するだけでは他社と同じになってしまうし、高価な機能を入れただけでは、大手メーカーの商品には勝てません。現在のPIXYDAは、大手メーカー並みの設計やパーツで、その半分ぐらいの価格でできていると思います。

それは日本で企画と製品管理をして、調達と製造は中国や韓国などの海外を利用するという、カーアクセサリでずっと培ってき実績とノウハウが強みになっています。付属品を取り付けるアダプタやDC電源は、もともとカーアクセサリでも扱っていたパーツですから。

── 今後は海外展開も考えているのですか?

田邉 カーナビの場合、ネックになるのは地図です。たとえば中国では軍事的な理由で地図の管理がものすごく厳しいので、現地の事情を調査しているところです。現在の製品をそのまま持って行けるわけではなく、そんなに簡単ではないですね。

セイワ 田邉正明 代表取締役社長

── では最後に、みちびきに対する期待をお聞かせください。

みちびきが4機体制になって24時間利用できれば、位置情報の精度が高くなり、ジャイロなしでも高い精度でやっていけるでしょう。PNDの市場自体は徐々に縮小していますが、「電源につなげば、手軽にナビゲーションでき、テレビも見られる」というメリットがあればPNDがなくなることはありません。低価格でコストパフォーマンスがよい製品をつくることで、生き残っていきたいと思っています。

── ありがとうございました。

※所属・肩書はインタビュー時のものです。