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[実証] 都市部でのQZ1測位モード比較

2015年06月11日

<目的>
都市部における、マルチパスの影響を5種類の測位モードで比較し、準天頂衛星みちびき(QZS)の有効性を評価する。
<試験内容>
QZ1を、次の5種類の測位モードに設定し、同じ場所、時間で全モードの測位を実施した。
・測位モード:1)GPSのみ、2)GPSとQZS(L1C/A)、3)GPSとQZSのL1-SAIF補強、4)GPSのL1-SAIF補強、5)GPSとGLONASS
・場所:JR新橋駅周辺(東京・港区)
・日時:2015年2月27日 9時35分~9時55分
<実証方法>
各測位モードに設定したQZ1、5台をプラスチックケースに入れ手で持ち、試験コースを赤矢印←の方向に歩行で移動。その時のNMEAデータ*を取得。
*米国海洋電子機器協会(=National Marine Electronics Association)が定めた規格で、受信機とナビゲーション機器の通信に使用されるプロトコル

5台のQZ1を入れたプラスチックケース

QZ1を入れたプラスチックケース

試験コースの空撮画像

試験コース

2. 実証結果

2.1 測位状態

  • GPSのみの測位に使用衛星数は4~8機で、QZSを加えた場合は1機多く5~9機となった。
  • GPSとQZSを使用した場合、安定してL1-SAIFの補強が有効になっていたが、GPSのみの場合は衛星数が少なく、安定しない。
  • GPSとGLONASSでは使用衛星数が7~12機と非常に多くHDOP(=Horizontal Dilution of Precision、水平精度低下率)も良い。

 

 

 

 

 

 

赤色:品質*、緑色:使用衛星数、青色:HDOP
*品質は、衛星の測位状況を表す。0:非測位、1:測位、2:測位補強あり

GNSS Viewの表示画面

9時45分 東京の衛星配置

2.2 測位精度

 

 

 

 

 

 

3. QZSとGLONASSの効果

3.1 QZSの効果

<L1C/Aの効果>
GPSのみの測位は移動ルートから外れた位置を多く示しているが、GPSとQZS(L1C/A)の測位は移動ルートとほぼ合っており、QZS(L1C/A)の効果は高いと言える。

<L1-SAIFの効果>
GPSにL1-SAIF補強を行った測位はGPSのみの測位結果と比較し、大きな改善は見られなかった。

今回の実証は電離圏の影響が少ない環境、時期に実施したため、大きな効果を得ることができなかったと考える。

3-2. GLONASSの効果

GPSのみと比較し測位精度は向上しているが、GPSとQZS(L1C/A)よりも移動ルートと異なる測位結果が多い。

今回の実証では仰角の高いGLONASSが少なく、建造物による遮蔽やマルチパスの影響を受け、高仰角のQZSほど高い効果を得られなかったと考える。

上表の赤枠は、常時仰角が45度以上の衛星

画面内の赤丸は、常時仰角が45度以上の衛星

4. まとめ

4.1 都市部での実証で分かったこと

  • 高い建物に遮蔽されてGPSの可視衛星数が少なくなるが、QZS(L1C/A)やGLONASSを追加することで衛星数が増えてDOP(=Dilution of Precision、測位精度劣化係数)が改善され、測位精度が向上する。
  • GPSやGLONASSは、高仰角に位置するとは限らないので、高仰角でマルチパスの影響が少ないQZS(L1C/A)を使用することで測位精度が向上する。
  • マルチパスや遮蔽の影響が大きく、電離圏の影響が少ない環境のため、QZS(L1-SAIF)補強では高い効果は得られない。

4.2 4機体制での期待

  • QZS(L1C/A)が増え、GPS等の可視衛星数が増えることでDOPが改善され、安定して精度の高い測位が期待できる。
  • QZS(L1C/A)が常時高仰角に位置するのでマルチパスが改善され、恒常的に測位精度の改善が期待できる。
  • QZS(L1-SAIF)補強については、さらに精度の高い方式に変更し、4機から配信することで常時利用できる。

4機体制になった時の衛星配置(2015年2月27日、東京をGNSS Viewで設定)

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